堤 宏守研究室(バイオ機能高分子)

電解質って,なに?


■ここでは,「電解質」に関する説明と,「なぜ電池に電解質が必要か」について説明します。

■電解質
 溶媒に溶解させた場合に、陽イオンと陰イオンに電離する物質を指す。また,このようなイオンを含む溶液全体を指す場合もある。これに対し、溶媒に溶解させても電離しない物質は非電解質と呼ばれる。例えば,食塩(塩化ナトリウム)は,水に溶解させると,ナトリウムイオンと塩化物イオンに解離するので,電解質であるが,砂糖は水には溶けるが,イオンにはならないので,非電解質にあたる。
■なぜ電池に電解質が必要か
 電池は,大きく分けると3つの材料から構成されています。
 正極材料,負極材料,電解質の3つです。このうち,正極材料は,負極から出てきた電子を受け取る酸化剤と見なすことができ,負極材料は,電子を放出する還元剤と見なすことができます。従って,この酸化剤と還元剤を同じ容器にいれたものが電池ということになります。
 この酸化剤と還元剤の間を仕切らずに,直接接触させると,激しい反応が電池内で起きてしまい,電池の外にエネルギーを取り出すことができません。従って,この2つの材料の間を仕切る必要があります。しかし,この正極材料と負極材料の間を完全に仕切ってしまうと,電子の移動に伴う電荷のバランスを保つことができなくなるので,電池から電子を連続的に取り出すこと(電流を取り出すこと)ができなくなります。この電荷のバランスを保ちつつ,電池内部の電子の移動は抑える必要があります。
 この働きを担うのが電解質であり,電子そのものは通さないものの,電荷輸送をイオンにより行うことで,電池内の電荷バランスを保つことができるようになります。
 電解質,すなわちイオンを導くことのできる材料は,このような働きを電池内でしています。