授業の概要
今年度から新設した科目です。美術作品を見て、読み取られる情報を言葉に置き換えること、感じた印象を言葉で表現すること、そして書き出した言葉をもとに考察することを学びます。「モナ・リザ」は、イタリア・ルネサンスを代表するレオナルド・ダ・ヴィンチが生涯手元に置いていた絵です。そこには黒い服を着た髪の長い女性の半身像が描かれており、彼女は左肩を心持ち前に出して首から上を正面へ向け、左手の上に右手を重ねて、微笑んでいます。その微笑みが謎めいている、と言う人もいれば、眉毛が描かれていないことに気がついて「不気味だ」という感想を述べる人もいます。このように図像を文字に置き換えることの意義を学びます。
登録学生は100名までとします。超過の場合、9月28日のオリエンテーションでくじ引きとします。また、10月5日は休講です。第2週目からの聴講希望には応じませんのでご了承下さい。
授業の一般目標
一、美術作品を細部まで時間をかけて観察できる。
二、美術作品に表現されている内容を適切な言葉で表現できる。
三、美術作品を見て自分が感じ取った内容を適切な言葉で表現できる。
四、美術作品から読み取られた内容をもとに考察し、文章にまとめることができる。
授業の到達目標
知識・理解の観点 |
一、美術作品を語るための基本的な語彙を習得している。 二、美術作品を読み解く観点に習熟している。 |
思考・判断の観点 |
美術用語を適切に使用して自分の考えを文章にまとめることができる。 |
関心・意欲の観点 |
できるだけ多くの鑑賞経験をつむことに努め、関連書籍を読んで語彙を豊かにすることが習慣となっている。 |
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授業計画
休講が多く、受講生の皆さんにはご不便をおかけします。その分、2月の試験期間中も講義を行います。期末試験は行いません。ちょっと変わった評価方法を考えています。成績は、講義を通してそれぞれが獲得し、熟達したスキルに見合った点数を自己申告してもらい、基準点とします。各自から提出された自己採点の点数に対し、出席点や普段の取り組み具合に応じた調整点を加減したものを評点とします。
講義は5つの段階に分かれています。各段階での欠席は1回しか認めません。
また、12月21日に課題図書を提示(要認証)しますので、冬休み中に読んでおいてください。【第4段階】の「美術評論を読む」で、各自発表してもらいます。
九・二十八 |
<零> オリエンテーション |
十・五 |
(休講) |
十・十二 |
(休講) 体育の日 |
十・十九 |
<第一講> 観察力をつける(1) さかさまの絵を写し取る【第1段階】 |
十・二十六 |
(休講) 第11回 国際イスタンブール・ビエンナリ調査 |
十一・二 |
<第二講> 観察力をつける(2) グラデーションの幅を広げる【第1段階】 |
十一・九 |
<第三講> 観察力をつける(3) 描くこと=見ること【第1段階】 |
十一・十六 |
<第四講> 見えているものを言葉に(1) 名指す【第2段階】 |
十一・二十三 |
(休講) 勤労感謝の日 |
十一・三十 |
<第五講> 見えているものを言葉に(2) 様子を表す【第2段階】 |
十二・七 |
(休講) 第6回アジア太平洋現代美術トライエニアル調査 |
十二・十四 |
<第六講> 感じたことを言葉に(1) 外に向かう【第3段階】 |
十二・二十一 |
<第七講> 感じたことを言葉に(2) 内に向かう【第3段階】 |
一・十一 |
(休講) 成人の日 |
一・十四(月振) |
<第八講> 美術評論を読む(1)【第4段階】 |
一・十八 |
<第九講> 美術評論を読む(2)【第4段階】 ※課題レポート一覧(要認証) |
一・二十五 |
<第十講> 実践編(1) 作品解説を書こう【第5段階】 |
二・一 |
<第十一講> 実践編(2) 展覧会紹介を書こう【第5段階】 |
二・八 |
<第十二講> 実践編(3) 美術紀行文を書こう【第5段階】 |
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リンク:シラバス
参考図書
高橋源一郎『13日間で「名文」を書けるようになる方法』(朝日新聞出版、2009年)
杉原賢彦ほか編『アートを書く! クリティカル文章術』(フィルムアート社、2006年)
齋藤孝『三色ボールペン情報活用術』(角川書店、2003年)
齋藤孝『三色ボールペンで読む日本語』(角川書店、2002年)
橋本治『人はなぜ「美しい」がわかるのか』(筑摩書房、2002年)
フィルムアート社編『アート・リテラシー入門―自分の言葉でアートを語る』(フィルムアート社、2004年)
ジョセフ・ダラコット『美術批評入門』、篠田達美訳(スカイドア、1995年)
ベティ・エドワーズ『脳の右側で描け』、北村孝一訳(エルテ出版、初版1981年、第3版2002年)
ベティ・エドワーズ『内なる画家の眼―創造性の活性化は可能か』、北村孝一訳(エルテ出版、1988年)
◆評論・作品研究
中村敬治『現代美術巷談』(水声社、2004年)
ジャン=クレ・マルタン『物のまなざし―ファン・ゴッホ論』、杉村昌昭、村沢真保呂訳(大村書店、2000年)
ダニエル・アラス『なにも見ていない』、宮下志朗訳(白水社、2002年)
クレメント・グリーンバーグ『グリーンバーグ批評選集』、藤枝晃雄編訳(勁草書房、2005年)
◆紀行文・評論
和辻哲郎『イタリア古寺巡礼』(岩波文庫)(1991年、岩波書店) ※和辻哲郎『イタリア古寺巡禮』(要書房、1950年)
中山公男『西洋の誘惑』(1968年、新潮社、新版:2004年、印象社)
伊藤誠『気になる世界の美術館』(神戸新聞総合出版センター、2006年)
朽木ゆり子『フェルメール全点踏破の旅』(集英社新書ヴィジュアル版) (集英社、2006年)
◆洋書
Henry M. Sayre, Writing about Art (Upper Saddle River, NJ: Prentice Hall, 2002)