トップページ > 診療内容 > 小児神経外科 > 小児の脳・神経の病気

小児の脳・神経の病気

水頭症二分脊椎脳性麻痺その他の小児疾患

水頭症

小児の脳の病気では最も多いものです。新生児・乳児の水頭症は10000人に2-3人で、原因には先天的(生まれつきの)なものの他に、髄膜炎や脳出血などがあります。頭が大きくなり、放置すると視力低下や知能低下をきたす病気です。手術方法には脳室腹腔シャント術(図1)や神経内視鏡による第三脳室底開窓術(図2)があります。

図1:脳室腹腔シャント術
図1:脳室腹腔シャント術
  1. 脳室から腹腔まで細い管を使って脳脊髄液を流す。管は完全埋め込み式である。
  2. 1.の頭部を拡大したもの。シャントバルブは頭皮の下、頭蓋骨の上に置かれる。逆流を防止し、脳圧を調節する。
図2:脳脊髄液の流れと内視鏡手術
図2:脳脊髄液の流れと内視鏡手術
  1. 正常の場合、脳脊髄液は脳室の中を上から下に流れ、小さな孔を通って脳の外(クモ膜下腔)に出る。その後は下から上に流れ、吸収される。
  2. 脳室には砂時計の様に細くなった部分がある。そこで脳脊髄液の流れが止まると脳室が拡大する。
  3. 内視鏡を使って脳室とクモ膜下腔の間に孔を開ける。
  4. 脳室の脳脊髄液が開けた孔から流れ、脳室は小さくなる。

二分脊椎

小児の先天的な病気で、腰のところで脊髄が飛び出していたり、脂肪の塊が脊髄にくっついていたり、小さな孔が脊髄までつながっているものをいいます。お腹の中にいるときや生まれたときに見つかり、すぐに手術が必要な場合と、歳をとるに従って足の運動麻痺や排尿・排便の障害で発見される場合があります。

脳性麻痺

生まれる少し前から生まれてしばらく後の一ヶ月くらいの間に、何らかの傷害があり、歩けない、歩き方がぎこちない状態になったものです。知的な障害を伴う子と、伴わない子がいます。爪先立ちやハサミ脚(両足が交差する)の子には選択的脊髄後根切除術、または末梢神経縮小術が有効です。重症の脳性麻痺には髄腔内バクロフェン療法が出来るようになりました。

その他の小児疾患

大人の病気のほとんどがこどもにもあるので、脳神経外科で扱うこどもの病気は範囲が広く、脳腫瘍、脳卒中、頭部外傷、てんかんなど様々です。脳卒中の原因の一つであるモヤモヤ病は厚生労働省の特定疾患として認定されています。脳の病気は一度治療すれば終わりというものではありません。その子の成長を観察し、必要があれば学校の先生とも相談しながら治療は続いていきます。