地域の基幹病院として一般的な診療を幅広く行い、周産期分野、婦人科悪性腫瘍分野、不妊・生殖内分泌分野で高度な医療・研究を行っています。臨床面では、婦人科腫瘍、不妊・生殖内分泌、周産期と多岐にわたる産婦人科診療において、常に最高水準の医療レベルを目指しており、高い診療能力を持つ医師の育成に努めています。研究面では、特に基礎的な研究を中心に行い、そこから導きだされた結果を臨床にフィードバックするという視点で研究を行っています。基礎研究を経験することで、科学的・論理的な考え方が身に付きEvidense Based Medicineに基づいた診療を行うことができ、さらにリサーチ・マインドを持つ優秀な医師が育つと考えています。
婦人科悪性腫瘍に対しては、診断から治療まで包括的な医療を提供するとともに、それぞれの患者の状態に応じて手術療法、化学療法、放射線療法などの治療法を適切に組み合わせた集学的治療を行っています。最新のエビデンスに基づいて当科での治療方針を定め、過不足のない治療を安全に行うことをモットーとしています。子宮頸癌の根治的放射線治療は県内では2施設のみでしか行えず、多数例の経験ができます。また初期の子宮頸癌症例には、妊孕性温存を目的として手術をせずに治療する光線力学的療法(PDT)という先端医療も行っています。
不妊症をはじめ、ホルモン異常、月経異常、子宮内膜症、子宮の先天奇形といった生殖領域の広範な問題に対応しています。若年者の月経異常に関しては、分子生物学的手法を用いたDNAレベルでの高度な診断を独自に行っています。また不妊症では多岐にわたる不妊原因の正確な診断およびそれに基づいた治療を行っており、一般不妊治療のほか、腹腔鏡や子宮鏡などの内視鏡を用いた治療、さらには体外受精胚移植といった生殖補助医療も積極的に行っており、さらに卵の質を向上させる目的でメラトニン投与なども行っています。
正常妊娠、ハイリスク妊娠、合併症妊娠に対して先端の周産期医療を行っています。分娩監視装置や呼吸循環モニターを備えたMFICU(母体・胎児集中管理室)を開設し、これまでにあったNICU(新生児集中治療管理室)と合わせて、24時間体制で母体および新生児の搬送を受け入れています。胎児疾患は小児科新生児チームと協議して治療にあたっています。母体搬送は年間80件、夜間の時間外診療件数が毎月120件以上ほどあり、地域の「最後の砦」としての役割を果たすべく、日々活発に診療に当たっています。分娩時には1分1秒を争うような胎児機能不全症例では超緊急の帝王切開が必要になることも珍しくなく、研修医や若手の先生達が充分研修できる環境となっています。