堤 宏守研究室(バイオ機能高分子)

ポリマー電解質


■ここでは,ポリマー電解質について解説します。
■ポリマー電解質が必要とされる背景
 現在の私たちの生活に欠かすことのできない各種の携帯電子機器(携帯電話やノート型コンピュータなど)のエネルギー源は,充放電可能な電池(二次電池)であり,この電池に,どのくらいのエネルギーを詰め込むことができるか,が大きな研究テーマになっています。また,電池そのものの大きさをなるべく小さくしたい,形状を自由にしたい,などの要求も強くなってきています。
 この電池の軽量化や薄型化,形状の自由化には,電池を構成している材料のうち,電解質を固体化する必要があります。通常の電池では,電解質は,液体(携帯電話などでも,有機溶媒を用いた液体電解質)を用いています。液体電解質を用いる場合には,電池から漏れ出したりしないように,電池の容器をしっかりしたものにする必要があり,電池重量の増加を招いてしまいます。
 また,有機電解液は可燃性であるので,電池の過熱時に発火する危険性もあり,電池の大型化(電気自動車や太陽電池などの自然エネルギーによる発電した電気の貯蔵用)の大きな妨げとなっています。

■そこで,電解質をポリマー化(フィルム化)することで,上で述べたような問題点を解決しようとする研究を行っています。
■では,ポリマー電解質は,どのようにして機能しているのでしょうか。
電解質って,なに?
■ポリマー電解質が機能するためには,次の2つのことが揃っていないと機能しません。
(1)ポリマーの中に加えた塩(無機塩)が,イオンに解離すること
(2)(1)で生成したイオンが,ポリマー中を移動できること

■(1)は,無機塩を解離できるだけの親和性を持つポリマーが必要であり,具体的には,イオンと擬似的な溶媒和が可能な極性基(エーテル結合,ニトリル基,カルボキシル基など)をポリマーが有している必要があります。(左下図は,擬似的に溶媒和したポリエチレンオキシド鎖とイオンの模式図 赤:酸素原子,黒:炭素原子,水色:水素原子,紫:イオン)
■(2)を可能にするためには,室温付近で,ポリマー鎖が,ある程度運動できることがひつようとなります。ガラス転移点の低いポリマーが,これを可能にすると考えられています。(右下図は,ポリマー鎖の運動によりイオンが運ばれる様子の模式図 図をクリックすると拡大されます。)
PEOに溶媒和されるイオンの模式図 イオン伝導の模式図