美学・美術史概論W二〇一四


授業の概要

美術史学の古典的著作について紹介・考察します。今期は、ジョルジョ・ヴァザーリ著『美術家列伝』を取り上げます。美術史記述の原型のひとつとなった「列伝」について、その有用性と問題点を考えます。


授業の一般目標

一、イタリア・ルネサンスの代表的美術家について詳しく知る。
二、美術史学における「列伝」の有用性と問題点を理解する。
三、美術史学の古典的著作や研究書について、深く幅広く親しむ。


授業の到達目標

知識・理解の観点

 イタリア・ルネサンスの代表作について、技法・素材、制作年代、所蔵館等の基本情報を述べることができ、さらに様式的特徴を専門用語を用いて説明できる。

思考・判断の観点

 ヴァザーリの記述を批判的に吟味し、その有用性と問題点を論じることができる。

関心・意欲の観点

 自ら進んで関連書籍を読み、幅広い読書体験と考察の中に、講義で習う内容を位置づけることができる。

 

 

授業計画

日本語訳として刊行されている『ルネサンス画人伝』に沿って、美術家を毎週1人ないし2人ずつ紹介します。

四・十四

<第一回> オリエンテーション ヴァザーリと列伝について

四・二十一

<第二回> チマブーエ/ジョット

四・二十八

<第三回> ウッチェマザッチョ

五・五

 (休講) こどもの日

五・七(月振)

<第四回> ピエーロ・デラ・フランチェスカフラ・アンジェリコ

五・十二

<第五回> フィリッポ・リッピリーニ

五・十九

<第六回> ボッティチェマンテーニャ

五・二十六

<第七回> レオナルド・ダ・ヴィンチ

六・二

<第八回> ジョルジョーネ

六・九

<第九回> ラファエ(1)

六・十六

<第十回> ラファエ(2)

六・二十三

<第十一回> ミケランジェロ(1)

六・三十

<第十二回> ミケランジェロ(2)

七・七

<第十三回> ミケランジェロ(3)

七・十四

<第十四回> ティツィアーノ/ヴァザーリ

七・二十一

 (休講) 海の日

七・二十八

 期末試験

 

 美術用語一覧

 

 

リンクシラバス


参考図書

 ◆ヴァザーリの著作

ジョルジョ・ヴァザーリ『美術家列伝』第一巻(中央公論美術出版社、二〇一四年) ※全六巻

ジョルジョ・ヴァザーリ『ジォット/ブルネッレスキ』(大学書林語学文庫 美術家列伝1)、亀崎勝訳注(大学書林、一九九八年)

ジョルジョ・ヴァザーリ『ドナテッロ/レオナルド・ダ・ヴィンチ』(大学書林語学文庫 美術家列伝2)、亀崎勝訳注(大学書林、一九九八年)

ヴァザーリ『続ルネサンス画人伝』、平川祐弘ほか訳(白水社、一九九五年)  県図開架R702.37/M5

ヴァザーリ『ルネサンス彫刻家建築家列伝』、上田恒夫ほか訳(白水社、一九八九年)  総図開架702.37/V07

ヴァザーリ『ルネサンス画人伝』、平川祐弘ほか訳(白水社、一九八二年)  総図開架702.37/V07 ※この本をもとに講義します。

ジォルジォ・ヴァザーリ『レオナルド・ダ・ヴィンチ伝』(ヴァザーリ美術家伝)、裾分一弘訳(岩崎美術社、一九七四年)

Laura Riccò, Vasari Scrittore: La Prima Edizione del Libro delle Vite (Biblioteca di cultura 154)(Roma: Bulzoni, 1979).

Giorgio Vasari, Lives of The Most Eminent Painters, Sculptors & Architects, newly tr. by Gaston du C.de Vere (New York: AMS, 1976; repr. of 1915 ed.).

Giorgio Vasari, Le Vite de' Più Eccellenti Pittori, Scultori e Architettori (Novara: Istituto Geografico de Agostini, 1967).

Giorgio Vasari, Le Vite de' Più Eccellenti Pittori, Scultori e Architettori, prima stampa comentata illustrata a cura di Pio Pecchiai (Milano: Casa Editrice Sonzogno, 1928).

 ◆ヴァザーリ関連

樺山紘一序論、野口昌夫編著『ルネサンスの演出家―ヴァザーリ』(白水社、二〇一一年)

ロラン・ル・モレ『ジョルジョ・ヴァザーリ―メディチ家の演出者』(白水社、二〇〇三年) 総図開架723.37/L25 ※副読本として推奨します。

ヴァザーリ研究会編『ヴァザーリの芸術論 「芸術家列伝」における技法論と美学』(平凡社、一九八〇年) 総図開架701.1/V02

T. S. R. Boase, Giorgio Vasari: The Man and The Book (Princeton UP, 1979).

 ◆そのほか

石鍋真澄監修『ルネサンス美術館』(小学館、二〇〇八年)

高階秀爾・三浦篤編『西洋美術史ハンドブック』(新書館、一九九七年)