階層構造とは,ある対象および事象が層状に積み重なった構造の総称です. 大学における [学部 - 学科 - 研究室] や,企業や自治体での [部 - 課 - 室 - 係] のように,多くの人間集団ではピラミッド型の階層構造が形成されます. 一方,自然界では,長さスケールや時間スケールに関する階層構造が自発的に生じます. 例えば,生物では [細胞 - タンパク質 - 原子・分子] など,宇宙では [超銀河団 - 銀河団 - 銀河 - 星] などの階層構造が確認されます.
自然現象は,ある1つのスケールに特化すると,線形法則により近似的に記述されます. 例えば,バネの伸びと荷重の関係はフックの法則により記述されますが,この線形法則は伸びが十分に小さいときのみ成立します. しかし,我々の身近な現象の多くは,様々なスケールが相互に影響を及ぼしあっています. このような自然現象を記述するにあたっては,線形関係では記述できず,非線形効果が本質的な役割を果たします.
私は,統計物理学の考え方を背景に,理論解析や計算機シミュレーションにより様々な非線形現象を研究しています. 特に,非線形現象での階層構造がどのような理由でどのようにして生じるのか,また,階層構造によりどういった機能が発現されるのか等に興味を持っています. 普遍性への道は未だ険しく,現在は様々なテーマについての研究を進めており,将来的にそれらを総合することで普遍的性質の抽出を試みます. それぞれのテーマの具体的項目は以下の各ページをご参照ください.