美術史二〇〇六


授業の概要

この講義では、「西欧美術史学」の歴史について講義します。日本の美術史学は、西欧美術史学から様々な問題意識を吸収してきました。グローバリゼーション時代に日本の大学で美術史を学ぶということについて受講生の皆さんとともに考えてみたいと思います。


授業の一般目標

一、西欧美術史学の知的遺産の基本部分を学ぶ。
二、西欧美術史学を相対化する。


授業の到達目標

知識・理解の観点

 西欧美術史学によって生み出された用語の意味が説明できる。

思考・判断の観点

 西欧美術史学の有用性と問題について、独自の見解を述べることができる。

関心・意欲の観点

 西欧美術史学の影響下に、現在さまざまな国で展開されている「美術史学」と西欧美術史学、という構図から、自ら一歩踏み出そうという知的意欲を持つ。

態度の観点

 「美術史とは何か」という問題意識をもって、さまざまな著作を渉猟し、独自の美術史観を育む。

 

 

授業計画

一六世紀イタリアで活躍したヴァザーリ以後、ポストコロニアリズムの現在まで、西欧美術史学の展開を追いつつ解説します。

四・十三

   <零>    オリエンテーション

四・二十

<第一講> 西洋美術史(一)古代・中世

四・二十七

<第二講> 西洋美術史(二)ルネサンス

五・四

 国民の休日(休講)

五・十一

<第三講> 西洋美術史(三)近現代

五・十八

<第四講> 日本近現代美術史(一)戦前

五・二十五

<第五講> 日本近現代美術史(二)戦後

六・一

<第六講> 西欧美術史学の歴史(一)列伝史

六・八

<第七講> 西欧美術史学の歴史(二)様式史

六・十五

<第八講> 西欧美術史学の歴史(三)イコノロジー

六・二十二

<第九講> 西欧美術史学の歴史(四)多元化

六・二十九

<第十講> 台湾美術をめぐって

七・六

<第十一講> 西欧美術史学の歴史(五)超領域化

七・十三

<第十二講> 「台湾絵画」見学会=レセプション見学+ギャラリートーク聴講(福岡アジア美術館 9時45分〜)
         ※自由参加

七・二十

<第十三講> まとめ:西欧美術史学とポストコロニアリズム

 

 

八・四

 レポート(学務係BOX) ※17時締め切り

リンクシラバス


参考図書

ホミ・K・バーバ『文化の場所 ポストコロニアリズムの位相』、本橋哲也、正木恒夫、外岡尚美、阪元留美訳(法政大学出版局、二〇〇五年)

ロバート・S・ネルソン、リチャード・シフ編『美術史を語る言葉 22の理論と実践』、加藤哲弘、鈴木広之、秋庭 史典訳(ブリュッケ、二〇〇二年)

グザヴィエ・バラル・イ・アルテ『美術史入門』、吉岡健二郎・上村博訳(白水社、一九九九年)

高階秀爾・三浦篤編『西洋美術史ハンドブック』(新書館、一九九七年)

ウード・クルターマン『美術史学の歴史』、勝國興、高坂一治訳(中央公論美術出版、一九九六年)

マルシア・ポイントン『はじめての美術史』(スカイドア、一九九五年)

ウード・クルターマン『芸術論の歴史』、神林恒道、太田喬夫訳(勁草書房、一九九三年)

高階秀爾『美の思索家たち』(青土社、一九九三年) (新潮社版:一九六七年)

Ziauddin Sardar, Rasheed Araeen, Sean Cubitt (ed. by), The Third Text Reader on Art, Culture and Theory,  London, Continuum, 2002.