美術史2005


授業の概要

この講義では、「西欧美術史学」の歴史について講義します。日本の美術史学は、西欧美術史学から様々な問題意識を吸収してきました。グローバリゼーション時代に日本の大学で美術史を学ぶということについて受講生の皆さんとともに考えてみたいと思います。


授業の一般目標

1.西欧美術史学の知的遺産の基本部分を学ぶ。
2.西欧美術史学を相対化する。


授業の到達目標

知識・理解の観点

 西欧美術史学によって生み出された用語の意味が説明できる。

思考・判断の観点

 西欧美術史学の有用性と問題について、独自の見解を述べることができる。

関心・意欲の観点

 西欧美術史学の影響下に、現在さまざまな国で展開されている「美術史学」と西欧美術史学、という構図から、自ら一歩踏み出そうという知的意欲を持つ。

態度の観点

 「美術史とは何か」という問題意識をもって、さまざまな著作を渉猟し、独自の美術史観を育む。

 

 

授業計画

16世紀イタリアで活躍したヴァザーリ以後、ポストコロニアリズムの現在まで、西欧美術史学の展開を追いつつ解説します。

4/14

 オリエンテーション:画集から美術館へ

4/21

 西洋美術の流れ

4/28

 (休講:課題レポートA:課題図書文献表配布)

5/12

 西欧美術史学の歴史1:芸術家の生涯伝から作品の記述へ

5/19

 (休講)

5/26

 西欧美術史学の歴史2:多元化する美術作品へのアプローチ

6/2

 西欧美術史学の歴史3:超領域化する美術史(中間まとめ)

6/9

 (休講:課題レポートB)

6/16

 (休講:課題レポートC)

6/23

 ポストコロニアリズム1: 「ポスト〜」とは

6/30

 ポストコロニアリズム2: オリエンタリズム

7/7

 ポストコロニアリズム3: 他者性の美術史

7/14

 ポストコロニアリズム4: 文化の純粋性と異種混交性

7/21

 まとめ

7/28

 期末試験

リンクシラバス


参考図書

ホミ・K.バーバ『文化の場所 ポストコロニアリズムの位相』、本橋哲也、正木恒夫、外岡尚美、阪元留美訳、法政大学出版局、2005年

ロバート・S.ネルソン、リチャード・シフ編『美術史を語る言葉 22の理論と実践』、加藤哲弘、鈴木広之、秋庭 史典訳、ブリュッケ、2002年

グザヴィエ・バラル・イ・アルテ『美術史入門』(文庫クセジュ 821)、吉岡健二郎・上村博訳、白水社、1999年

高階秀爾・三浦篤編『西洋美術史ハンドブック』、新書館、1997年

ウード・クルターマン『美術史学の歴史』、勝國興・高坂一治訳、中央公論美術出版、1996年

マルシア・ポイントン『はじめての美術史』、スカイドア、1995年

ウード・クルターマン『芸術論の歴史』、神林恒道、太田喬夫訳、勁草書房、1993年

高階秀爾『美の思索家たち』(高階秀爾コレクション)、青土社、1993年 (新潮社版:1967年)

Ziauddin Sardar, Rasheed Araeen, Sean Cubitt (ed. by), The Third Text Reader on Art, Culture and Theory,  London, Continuum, 2002.