二大国際美術展(二)
ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展
◆授業の目標
ヴェネツィア・ビエンナーレの歴史について理解する。
国際美術展のグローカリティについて考える。
1. グローカリティ
1-1. グローカリティ/ 『e-Japan用語集』より
グローカリティ:Globality+Locality → GLocality
グローカリティとは「グローバルに考え、ローカルに行動する」という環境保護活動の理念で、「グローバルな視点を持ったローカルな活動」に積極的に意義を認める考え方を示す造語である。e-Japanの情報技術について、グローバリズムに適切に順応・適応しながら、日本独自のローカリティを豊かに発揮する高度情報化社会への寄与が求められる。
e-Japan用語集<http://e-japan.unisys.co.jp/yougo/> (2011/7/26)
1-2. グローカリティ/『ウィキペディア』より
グローカル化:Glocalization
グローカル化は、全世界を同時に巻き込んでいく流れである「世界普遍化(Globalization)」と、地域の特色や特性を考慮していく流れである「地域限定化(Localization)」の2つの言葉を組み合わせた混成語である。俗に言う、「地球規模で考えながら、自分の地域で活動する(Think globally, act locally)」とも関連する言葉。
ウィキペディア<http://ja.wikipedia.org/wiki/グローカル化> (2011/7/26)
1-3. グローカリティ/『Wikipedia』 (English) より
Think Globally, Act Locally:地球規模で考えながら、自分の地域で活動する
「地球規模で考えながら、自分の地域で活動する」という独自の標語は、スコットランド人で都市計画者、社会活動家のパトリック・ゲディスに帰されてきた。ゲディスの1915年の著作『進化する都市』にこの標語そのものは見出せないものの、(都市計画に適用された)こうした考え方は明白である:「以上のように、『地域の特性』は単なる偶発的な古い世界の質とみなすことはできない。というのもその[地域特性の]擬態が考え、語るからである。それ[地域特性]は、全的な環境を適切に把握し対処すること、そして検討対象となっている場所での本質的で特徴的で生活への行動的で深い理解を通じて獲得される。」(訳出:藤川)Origin in Town Planning
The original phrase "Think Global, Act Local" has been attributed to Scots town planner and social activist Patrick Geddes. Although the exact phrase does not appear in Geddes' 1915 book "Cities in Evolution," the idea (as applied to city planning) is clearly evident: " 'Local character' is thus no mere accidental old-world quaintness, as its mimics think and say. It is attained only in course of adequate grasp and treatment of the whole environment, and in active sympathy with the essential and characteristic life of the place concerned."
http://en.wikipedia.org/wiki/Think_globally_and_act_locallyWikipedia<http://en.wikipedia.org/wiki/Think_globally_and_act_locally> (2011/7/26)
1-4. グローカリティ/『地域からの国際化』(1987年)より
チャドウィック・F・アルジャー『地域からの国際化―国家関係論を超えて』(日本評論社、1987年)
「地球規模で考え、地域で行動する」=第三章 章題
think globally, and act locally (p.63)
◆「世界の中のコロンバス、コロンバスの中の世界」
私たちは国際関係論を一種の「傍観者として観戦するスポーツ」のようなものとして――つまり、ほとんどの人びとの日常生活からは切り離され、権力を持った人びとが遠いところで行うこととして――教えてきた。(p.5)
「人びとが、気づかないうちにかかわりつづけているという状態から脱して、責任を持ち、責任を果たす参加者になるように努力しなければならない」(p. 11)
「すでにたくさんの国際的な人材が地域に存在している。こうした人びとの専門的な力を見出して活用することこそ重要なのである」(p. 11)
◆「国際」と「民際」
People to People (p.32)
「国民国家のイデオロギーのおかげで、民主主義のプロセスが国境を越える可能性など想像もできないことになってしまった。」(p. 9)
「地図上に表わされた隔たりは、現在の技術が可能にした時間や空間とは一致しない。」(p. 30)
「二つの国を表わす通風筒を左右逆にして、広い口のほうが接触しているようになる。図2-3に描かれたように、多様な市民グループは、相互にオリンピックや科学協力や貿易や留学などの活動を通じて直接関係を持つことになる。」(p. 32)
2. ヴェネツィア・ビエンナーレの歴史
1895年、「ヴェネツィア市国際美術展」の名称で開始。イタリア国王ウンベルト一世と王妃マルゲリータの成婚25周年を記念する文化事業として。
・フレデリック・レイトン《ペルセウスとアンドロメダ》 1891年
・ジェームズ・ホイッスラー《白のシンフォニーNo.2―白衣の少女》 1864年
1934年、ムッソリーニとヒトラーがヴェネツィア・ビエンナーレ会場を公式訪問。ロモロ・ヴァッツォーニの回想によれば「ヒトラーは一画家として、鑑賞しているようだった。」という。
・ヴェネツィア・ビエンナーレ公式サイト http://www.labiennale.org/it/Home.html
・「ヴェネツィア・ビエンナーレ」は7部門
1895 美術展
1928 歴史資料館
1930 音楽祭
1932 映画祭
1934 演劇祭
1980 建築展
1998 舞踊祭
3. ヴェネツィア・ビエンナーレ第54回国際美術展
基本情報 スライド
会期:2011年6月4日(土)〜11月27日(日)
テーマ:照明/国家群(ILLMInations)
参加国数:89カ国
総合監督:ビーチェ・クーリガー(チューリッヒ市立美術館のキュレーター、美術雑誌『パーケット(Parkett)』創設者)
◆日本館の展示
束芋「てれこスープ(teleco-soup)」
コミッショナー:植松由佳(国立国際美術館主任研究員)
作品紹介
・ヴェネツィア・ビエンナーレ第54回国際美術展(市内会場地図)
・ヴェネツィア・ビエンナーレ第54回国際美術展(アルセナーレ/ジャルディーニ会場地図)
・日本館
2. ラティファ・エチャクッチ(モロッコ)《幻想曲》 2010-11年
5. ゲデウォン(エチオピア)/アシエル・メンディサバル(バスク)展示風景
7. ファブリツィオ・プレッシ
8. ファブリツィオ・プレッシ《垂直の海》 2010-11年
10. ウルス・フィッシャー《無題》、(部分1)、(部分2)
4. まとめ
・ヴェネツィア・ビエンナーレの歴史
―1895年開始、現在116年の歴史を誇る最も古い国際美術展
―参加国数89
―カステッロ公園から市内全域に拡大
―併催展の中には、非国家主体の企画展も
・国際美術展のグローカリティ
―「国際」美術展から「民際」美術展へ
―アートを通じて人と人とが「国境を越えて」出会う場
―「広場」としての役割
―地域からの国際化
―一人一人がグローバル化する世界の行為主体
◆過去の講義ノートへのリンク
二〇一〇年前期 <第十講> 二大国際美術展(二)ヴェネツィア・ビエンナーレ
二〇〇九年前期 <第一講> 事例研究(一)ヴェネツィア・ビエンナーレ
二〇〇八年前期 <第一講> 国際美術展概説(一)ヴェネツィア・ビエンナーレ
二〇〇七年前期 <第一講> 国際美術展の歴史(一)ヨーロッパ/<第七講> 事例研究(四)第五十二回ヴェネツィア・ビエンナーレ
二〇〇六年前期 <第五〜八講> 第五十一回ヴェネツィア・ビエンナーレ紹介(一)、(二)、(三) ヴェネツィア・ビエンナーレの歴史
二〇〇五年前期 第51回ヴェネツィア・ビエンナーレ報告1、2、3、4
二〇〇四年前期 ヴェネツィア・ビエンナーレ紹介
二〇〇三年前期(芸術論概説) ヴェネツィア・ビエンナーレの歴史 I、II/後期(芸術論概説) 第50回ヴェネツィア・ビエンナーレ I、II、III