SHOWA | |
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1946年/昭和21年 | 教室開設 小沢政次先生が初代教授として着任![]() |
1954年/昭和29年 |
三瀬淳一先生が二代目教授に就任![]() |
1958年/昭和33年 | 日本循環器学会中国四国支部創設 |
1974年/昭和49年 | 第 38 回日本循環器学会総会主催(山口市) |
1977年/昭和52年 |
楠川禮造先生三代目教授に就任![]() |
1979年/昭和54年 | 楠川禮造先生が日本循環器学会中国四国支部⻑に就任 |
1988年/昭和63年 | 松﨑益德先生が日本循環器学会中国四国支部⻑に就任 |
HEISEI | |
1991年/平成3年 | 第 55 回日本循環器学会総会主催(京都市) |
1992年/平成4年 |
松﨑益德先生四代目教授就任![]() |
1997年/平成9年 | 松﨑益德先生が日本循環器学会中国支部⻑に就任 |
1999年/平成12年 | 分子脈管病態学講座(寄附講座)開設 松﨑教授が教授兼任 |
2000年/平成12年 | 大講座制の移行により内科学第二講座から器官病態医科学講座 循環病態内科学へ改変 |
2004年/平成16年 | 松﨑益德先生が日本超音波医学会理事⻑および日本心臓学会の理事⻑に就任 |
2006年/平成18年 | 大学院大学への移行に伴い器官病態内科学に改変 |
2008年/平成20年 | 第 72 回日本循環器学会総会主催(福岡市) |
2009年/平成21年 | 第 18 回日本動脈硬化学会主催 |
2012年/平成24年 |
矢野雅文先生が五代目教授に就任![]() |
REIWA | |
2022年/令和4年 | 高齢者心不全治療学講座(寄附講座)の開設 |
2023年/令和5年 |
佐野元昭先生が六代目教授に就任![]() |
山口大学医学部内科学第二講座は故小沢政次先生が初代教授として昭和21年1月に開設され、令和7年には80周年を迎えます。故小沢先生は、一般内科学:呼吸器疾患、感染症、血液学等について多くの医師を育てられ、現在その先生たちの活躍が見られます。
三瀬淳一先生 昭和29年4月~昭和52年8月
第二代教授として三瀬淳一先生が昭和29年4月から赴任されました。三瀬先生は、京都大学医学部内科学第三講座教授故前川孫二郎先生の門下生で循環器病学を専門とされ、殊に右心カテーテル法による肺循環の研究は、わが国での創始者として名高い先生でした。従って内科学第二講座は主として循環器病学一色となりました。 教室の研究もこれを基礎に進められ、右心カテーテル検査も火木土の午後に行われ、午後9~10時頃終わることも再三でした。その時の圧、ガス分析、pH等の測定器に関しても現在の進歩したものでなく手製の測定器で、思えば非常に懐かしく感じるものです。その中で肺循環、呼吸機能の研究、ことに呼吸中枢のCO2感受性の研究、心疾患における体位変換時の血行動態の研究等興味ある研究が進められました。 一方三瀬先生は日本循環器学会中国四国地方会をつくられ、山口県はもとより中国四国地方の循環器病学の発展に貢献されました。現在では中国・四国に事務局が分かれ、中国支部の事務局が教室内に設置されております。昭和49年には第38回日本循環器学会総会が三瀬淳一会長のもとに山口市において開催されました。その後教室の研究も心カテ班、呼吸器班以外に心音図班、脂質班、腎・高血班、免疫リューマチ班等の活躍が目立つようになりました。 教室員も毎年3~7名の入局者があり漸次多くなり、山口大学医学部の中でも大世帯となり、教室の関連病院も増加しております。教室の大きな役割の一つは優れた臨床医の育成であり、このため医学生の卒然・卒後教育には特に注力いたします。見学型から診療参加型にシフトし、循環器・呼吸器・膠原病・腎疾患の初期対応から専門的治療までのプロセスをしっかり学べるよう学生・研修医を診療活動に組み込み、指導医によるマンツーマンの指導を中心とした教育環境を強固にいたします。とくに第二内科はチーム医療を得意としており、ダイナミックな循環器救急診療を学ぶ場としては最適です。
楠川禮造先生 昭和52年9月~平成4年8月
昭和52年9月より山口大学医学部内科学第二講座第三代教授として楠川禮造先生が赴任されました。楠川先生も京都大学医学部内科学第三講座の出身で三瀬先生の後輩にあたり、やはり循環器病学の権威者として高名であります。楠川先生は左心機能の病態生理が得意で、その研究、臨床、教育の面に非常に緻密な考え方で教室員の指導にあたられました。心不全の病態生理と治療、虚血性心疾患の病態生理と治療についての研究成果は目覚ましいものでした。 ことにシーメンスのシネアンジオの機械を導入され冠動脈造影による病態の把握と治療、またわが国初の食道内心エコー法の開発、動物実験による左心機能、ことに虚血心の局所心筋動態の研究等すぱらしい研究が次々と発表されました。それらのレベルも世界的なものとなり、ことにアメリカ心臓学会への演題数も増加しております。各研究班も心カテ、心音図、免疫、脂質、腎・高血圧のほか核医学、電気生理、運動負荷、CCU班等各班の活躍もみられます。第55回日本循環器学会総会は楠川先生を会長として、平成3年に京都市国際会議場で開催されました。
松﨑益德 平成4年9月~平成24年3月
器官病態内科学講座(第2内科)のレジェンドであり、
矢野雅文先生 平成24年8月~令和5年3月
平成24年8月から第五代教授として矢野雅文教授が就任されています。
矢野先生は、昭和58年山口大学を卒業後、山口大学大学院医学研究科博士課程に進学され、昭和62年に学位を取得されています。その後、平成5年から平成7年まで、Boston Biomedical Research Instituteに留学され、帰国後、心不全の原因として、心筋型リアノジン受容体(RyR2)からのCa2+漏出が重要であることを世界に先んじて報告されました。 平成19年、「心不全・不整脈治療標的としてのRyR2」に関する業績で、第32回日本循環器学会・日本心臓財団「佐藤賞」を受賞されました。平成24年8月に山口大学内科学第二講座(器官病態内科学)教授就任以降は、循環器内科はもとより、腎臓内科、膠原病内科、呼吸器内科の人材育成と山口県内の地域医療の発展に注力されました。 令和4年には、山口県内の高齢者心不全患者の心臓リハビリテーションの整備と推進、心不全研究の発展のために、高齢者心不全治療学講座(寄附講座)を設置されました。研究面では、世界的にも認知度の高い教室オリジナルな研究として、
1)心筋細胞内カルシウム(Ca2+)ハンドリング是正による新たな心不全・不整脈治療法の開発
2)RyR2を治療標的にしたアルツアイマー病、腎臓病、膠原病、脂肪肝の治療法の開発
3)光干渉断層法(OCT)など冠動脈イメージングによる経皮的冠動脈インターベンションの最適化方法の探求
4)心不全予測と不整脈治療
などの研究を指導されCirculation、JACC、Circulation Researchなどの多くの一流誌に掲載されました。
また、『慢性心不全患者におけるダントロレンの予後および心室性不整脈に与える効果と安全性を評価する多施設ランダム化2重盲検試験(SHO-IN TRIAL)』(jRCTs061180059)を主導され、令和7年にはキーオープンの予定です。本臨床試験は、医師主導型の慢性心不全を対象としたダントロレン、プラセボを用いた2重盲検試験で、中国地方、四国地方を含む大学および第二内科関連病院の21施設からなる多施設共同試験です。
臨床面では、24時間体制で急性心筋梗塞や重症心不全、難治性不整脈、感染性心内膜炎などの重症感染症に対応できる体制と県内の診療連携を強化され、急性期疾患から慢性期疾患を切れ目のない診療ができるような診療体制を構築されました。 高度先進医療に関しても、経カテーテル的大動脈弁植え込み術(TAVI)、補助循環用ポンプカテーテル(Impella)、経皮的僧帽弁クリップ術(MitraClip)などの導入に尽力されました。肺高血圧症、腎臓病や膠原病に関しても、県内の診療連携の構築や国内留学を積極的に推進し専門医の育成に尽力されました。
教授就任後の教室運営の11年間にわたって、循環器疾患・腎臓病・膠原病に対する県内の診療体制の整備と推進、専門医の育成、研究指導と先を見据えたリーダーシップで、山口大学大学院医学系研究科 器官病態内科学(第二内科)の発展に大きく貢献されました。