診療グループ紹介
腎臓病グループ

メンバー
チーフ | 澁谷 正樹 |
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医師 |
西村 夏実 米澤 眞子 |
診療案内
2024年の報告では日本の慢性腎臓病(CKD)患者は2000万人で、成人の5人に1人は慢性腎臓病を患っていると推定されています。近年は検診の普及、治療法の確立で慢性腎炎の予後は順調に改善がみられていますが、糖尿病性腎症、高血圧性腎硬化症による腎代替療法導入は高齢化も相まって依然高止まりしております。慢性腎臓病は進行すると腎代替療法を必要とする末期腎不全に至るだけでなく、心血管病(CVD)のリスクが高まる「心腎連関」が注目されております。驚くべきことに末期腎不全に進行するよりも心血管病で死亡するリスクの方が高いことが分かっておりますので、CKD管理においては血清クレアチニンや推算糸球体濾過量 (estimated glomerular filtration rate:eGFR)といった腎機能だけに注目するのではなく、CVDによる死亡リスクを考慮に入れた上で,全身を診るというとらえ方が必要になります。当科は循環器内科と同一の教室にありますので、循環器グループと協力しながらさまざまな心腎連関症例に対応しております。
従来からの診療の中心である腎炎、ネフローゼに対しては積極的に腎生検による診断を行い、正確な診断と疾患活動性の把握をした上で根拠に基づいたステロイドや免疫抑制剤を用いた治療を行っています。当科には膠原病グループもありますのでSLEや血管炎を基礎とした患者さんの割合が高いのが特色です。腎生検は年間50例程度行っており、幅広い疾患が集まっております。
当院泌尿器科と連携して透析患者に対する診療も行っており、重症度の高い透析患者に対する細やかな病態管理も手がけています。
特殊な診断・治療技術
- 外来蓄尿方式により病勢把握、食事指導を行う。
- 積極的に腎生検を行い、治療方針を策定する。
- 重症・多臓器疾患の血液浄化療法を行う。
過去3年の診療内容
微小変化型ネフローゼ、巣状分節性糸球体硬化症、IgA腎症、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、抗糸球体基底膜抗体型糸球体腎炎、 ループス腎炎、強皮症腎、糖尿病性腎症、高血圧性腎硬化症、悪性高血圧、原発性アミロイドーシス、ブドウ球菌感染関連腎炎、溶連菌感染後糸球体腎炎、コレステロール結晶塞栓症、慢性腎不全に対する腎移植紹介、TAFRO症候群、Fabry病、Alport症候群など
膠原病グループ

メンバー
チーフ | 名和田 隆司 |
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医師 |
研究内容については,「研究案内」のページを御覧ください.
診療内容
膠原病は自己免疫疾患(免疫の異常によって生じる疾患)・リウマチ性疾患(関節や筋肉に異常が生じる)・結合組織病(結合組織に異常が生じる疾患)の3つの要素を持つ疾患の総称であり,関節リウマチをはじめとした多くの疾患が膠原病に含まれます.
現在の医療技術では,膠原病の完治は実現できていませんが,寛解状態(全治とまでは言えないが、病状が治まっている状態)の長期維持を目指すことができるようになっており,膠原病患者さんの長期予後やQOLは従来と比較して著明に改善しています.
膠原病の症状は非常に多彩であり,同じ病気であってもその症状は患者さんごとに大きく異なり,画一的な治療ではなく,患者さん1人1人に応じて,その患者さんに最も良いと考えられる治療を提供することが重要となります.
当科では,膠原病患者さん1人1人に合った治療を提供し,患者さんの長期予後・QOLを改善すべく.診療を行っています.
対応疾患
関節リウマチ,全身性エリテマトーデス,皮膚筋炎・多発筋炎,シェーグレン症候群,全身性強皮症,混合性結合組織病,血管炎症候群,ベーチェット病,成人スチル病,リウマチ性多発筋痛症など
特殊な診断・治療技術
関節エコー・関節MRI・関節穿刺などの関節炎評価を行うための検査を行い,早期関節リウマチの診断・治療を行っています.
また,診察所見・全身臓器の病理所見・検査所見(自己抗体プロファイルなど)に基づいての適切な診断を心掛けています.
セールスポイント
リウマチ・膠原病は,全身臓器に症状を呈するために,単一臓器を診るだけでは診断・治療はできず,全身臓器を診るという総合内科的な要素が求められます.そのため,頭の先から足のつま先までの全身診察や検査所見の解釈を正しく行うことを心掛けています,
また,当科の循環器班・腎臓班や当院他科の先生方と連携を取りつつ,リウマチ・膠原病の専門医として患者さんの全体像を把握した上で診断・治療を行っています.
昨今の病態解明・技術発展に伴い,生物学的製剤やJAK阻害薬などの新規治療が臨床応用されており,これらの新規治療を積極的に用いて,治療を行っています.リウマチ・膠原病診療においては,臨床医としての知識・経験のみならず免疫学に対しての十分な知見も必要となりますが,大学病院の特色を活かして,免疫学に関する基礎研究を行ったり,免疫学に造詣の深い基礎医学講座の先生とディスカッションを行うことで免疫学に関しての知識も定期的にブラッシュアップし,最新の治療を患者さんに提供します.