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卵円孔開存症(PFO)

山大医学部第二内科

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卵円孔開存症とは

 卵円孔開存症(PFO)は、心臓の右心房と左心房の間にある小さな穴が、生まれた後も閉じずに残る状態を指します。通常、胎児期に卵円孔は酸素を含んだ血液が母体から胎児へ流れるのを助ける重要な役割を担っていますが、出生後には閉じるのが一般的です。しかし、約25%の成人ではこの穴が閉じないまま残り、これを卵円孔開存症と呼びます。

症状

 多くの場合、卵円孔開存症は無症状で、健康に悪影響を与えることはありません。そのため、多くの人は生涯にわたってPFOの存在に気づかないこともあります。

 脳梗塞のうち、原因不明な脳梗塞を潜因性脳梗塞といいます。そのうち約50%に卵円孔開存症が併存するといわれており、血栓が卵円孔を通じて右心房から左心房へ移動し、脳に血栓が飛ぶことで脳梗塞(奇異性脳塞栓症)を引き起こす可能性があると言われています。

PFOのサムネイル

診断

PFOは、以下のような検査で診断されます。

心エコー検査(超音波検査): 特に経食道エコー(食道にプローブを挿入して行う検査)は、PFOの存在を確認するために非常に有効です。生理食塩水に微細な気泡を含んだ溶液を注射し、その動きを超音波で観察します(マイクロバブルテスト)。気泡が右心房から左心房に移動することで、PFOの存在が確認されます。

治療

PFO自体が問題を引き起こしていない場合、特に治療は必要ありません。しかし、奇異性脳塞栓症や他の合併症が見られる場合には治療が考慮されます。主な治療法は以下の通りです。

経カテーテル的卵円孔閉鎖術

経カテーテル的卵円孔閉鎖術(Transcatheter Patent Foramen Ovale Closure)は、心臓の右心房と左心房の間にある小さな穴(卵円孔)を閉じるために行う低侵襲の治療法です。

  1. カテーテルの挿入: 足の付け根や腕の血管から細いカテーテルを挿入し、心臓まで進めます。
  2. デバイスの配置: カテーテルを通じて、卵円孔を塞ぐための小さなデバイスを心臓に送り込み、卵円孔を閉じます。
  3. デバイスの展開: デバイスは傘のように広がり、穴をしっかりと閉じるため、血液が左心房から右心房に漏れることを防ぎます。低侵襲で回復も比較的早いため、術後のが特徴です。

卵円孔を経カテーテル的に閉鎖する目的は、脳卒中のリスクを減らすことです。この治療は、脳卒中の既往がある人や、卵円孔が原因で発作を繰り返す可能性のある患者にとって有効です。

対象となるのは以下のような方々です

・卵円孔開存の関与があり得る潜因性脳梗塞の診断基準に合致した患者さん
・適切な抗血栓療法にも関わらず、潜因性脳梗塞を発症した方
・原則として、60 歳未満の方
・(女性の場合)妊娠していない、かつ 1 年以内の妊娠を希望しない方

薬物治療

血栓ができることを防ぐために、抗血小板薬(アスピリンなど)や抗凝固薬(ワルファリンなど)が処方されることがあります。

当院では循環器内科(カテーテルグループ、不整脈グループ、エコーグループ)、脳神経外科、麻酔科、メディカルスタッフが常に情報共有しながら、患者一人一人に合わせた医療を提供できるよう日々診療に取り組んでいます。

紹介元となる医療機関さま、奇異性脳塞栓症でお困りの患者様がおられましたら、下記問い合わせ先までご連絡ください

山口大学医学部附属病院 内科外来
TEL:0836-22-2501
外来担当医師:岡村誉之(金曜日)






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