
メンバー
チーフ | 小林 茂樹 |
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メンバー |
奥田 真一 望月 守 藤村 達大 大野 誠 末冨 建 宮崎 要介 福田 昌和 石口 博智 小室 あゆみ 中村 吉秀 民谷 正輝 縄田 純也 藤田 美穂 石川 真帆 |
研究内容
心不全・不整脈に対する新しいRyR2標的治療の臨床応用
心筋型リアノジン受容体(RyR2)は筋小胞体膜上に存在する4量体構造のカルシウム放出チャネルである。正常ではN末端ドメインと中央ドメインが密に連結(Zipping)し、RyR2チャネルは構造的に安定している。しかし、突然変異や酸化ストレス、RyR2の過リン酸化によりRyR2構造が変化しUnzippingとなると、RyR2からカルモジュリン(CaM)が解離することにより、拡張期に異常なカルシウム漏出(Caリーク)が生じる。しかしながら、ダントロレン(DAN)がRyR2に結合すると、RyR2の4量体構造は安定化し、CaMのRyR2への結合親和性を高め、Caリークを抑制する。また、CaMのRyR2への結合親和性を高めた遺伝子改変マウス(RyR2-V3599K)でも同様に、Caリークを抑制することを既に報告している。このように、DANやこの遺伝子操作によるRyR2安定化治療は、様々な心不全モデルや不整脈モデルで心不全への伸展や致死的不整脈を抑制する(図1)。
そこで現在、RyR2安定化薬のダントロレン内服の慢性心不全に対する慢性効果をみるSHO-IN試験(図2,3)と心不全に合併した致死的不整脈に対するダントロレン静注試験(VT試験)(図4)が進行中である。
SHO-IN試験investigator
赤川英三 明石晋太郎 赤瀬英亮 飯田博 池田安宏 石口博智 井本宏治 岩見孝景 上山剛 内田耕資 内海仁志
大野誠 大宮俊秀 岡村誉之 奥田真一 小田隆将 小田強 小田哲郎 小野史朗 小林正和 梶井俊郎 加藤孝佳
金本将司 河端哲也 河村修二 國近英樹 河野正輝 小林茂樹 佐藤晃 沢映良 白石宏造 末冨建 関耕三郎
瀧田覚 立石裕樹 田中正和 民谷正輝 土居正浩 中尾文昭 長澤仁明 中島豪希 中島唯光 中田祐樹 中村武史
中邑友美 中村安真 中村吉秀 縄田純也 南野巧真 西村傑 西村滋彦 濵田頼臣 早野智子 原田耕志 原田希
原田雅彦 久松裕二 平塚淳史 平野能文 弘本光幸 福田昌和 藤村達大 松田晋 見上俊輔 道重博行 宮崎要介
村上和華子 望月守 森谷浩四郎 矢野雅文 矢野泰健 山田寿太郎 山田倫生 山本健 山本普隆 吉賀康裕
吉田雅昭 分山隆敏 和田靖明 ※50音順(敬称略)
心不全・心筋症の解明、レジストリー研究
心臓サルコイドーシスのレジストリー研究
心不全や炎症で心筋酸化ストレスが亢進するとDNAの酸化損マーカーである8-Hydroxy-2’-Deoxyguanosine(8-OHdG)が産生する(図5)。これまで我々は、尿中8-OHdGが心臓サルコイドーシスの活動性評価や診断、予後予測、VTの機序解明に有用であることを報告してきた(Eur J Heart Fail 2011, Int J Cardiol 2015, Int J Cardiol 2016, Circ Cardiovasc Imaging 2017, Heart 2022)。
現在、ステロイドの効果判定やステロイド投与後心血管イベントの予測に尿中8-OHdGが有用かどうかを検証中である。我々独自で行っている慢性心不全のレジストリー研究で予後調査を行っている。また、国立循環器病センターを中心に行われているレジストリー研究(MYSTICS-PRO)にも参加している。
心アミロイドーシスのレジストリー研究
山口大学医学部附属病院独自で行っている慢性心不全のレジストリー研究とともに、慶應義塾大学が中心に行っている「オールジャパンで行う全身性アミロイドーシスのコホート研究」に参加している。
たこつぼ心筋症の病態解明
たこつぼ心筋症は、情動的・身体的ストレスにより血中カテコラミン濃度が増加し、心筋酸化ストレスが亢進していることを報告した。さらに、交感神経終末から放出されるノルアドレナリンが、一過性左室心機能障害の原因であるという仮説を立て、現在、基礎研究として培養心筋細胞を用いた検討を進めている。