group introduction

経皮的僧帽弁接合不全修復術

山大医学部第二内科

Home » 外来の案内 » 診療グループ紹介 » 経皮的僧帽弁接合不全修復術

治療内容

僧帽弁逆流症とは?

心臓は血液を全身に送り出すポンプの役割を果たしています。心臓は4つの部屋(右心房、右心室、左心房、左心室)に分かれており、各部屋の間には、血液が逆流しないように「弁」がついています(図1)。左心房と左心室の間には僧帽弁という弁があります(図2)

しかし、さまざまな原因で僧帽弁が十分に閉じなくなると、左心室から左心房へ血液が逆流してしまいます。これを僧帽弁逆流症と呼び、全身への血液循環に悪影響を及ぼす可能性があります(図3)

経皮的僧帽弁接合不全修復術とは?

従来、僧帽弁逆流症の治療は薬による管理や、心臓を直接開いて行う外科手術が主流でした。しかし、開胸手術は体への負担が大きく、高齢の方や持病をお持ちの方にはリスクが高い場合があります。

経皮的僧帽弁接合不全修復術は、体に優しい新しい治療法です。足の付け根の太い静脈にカテーテル(細い管)を挿入し、特殊なクリップを使って僧帽弁を挟みこむことで、血液の逆流を防ぎます。 この方法は、開胸や人工心肺装置を使わずに行えるため、手術リスクが高い方でも安心して受けられる治療として注目されています。

手術の流れ

手術は全身麻酔下で行われ、約2〜3時間を目安に実施されます。大まかな流れは以下の通りです。

  1. 全身麻酔の導入
  2. 経食道心エコーの使用:食道に特殊なカメラ(経食道心エコー)を入れ、心臓内部の様子をリアルタイムで確認します。
  3. カテーテルの挿入:太ももの付け根(鼠径部)の静脈から、専用のカテーテルを挿入します。
  4. 心房へのワイヤー進入:カテーテルを通して、右心房から左心房へ小さなガイドワイヤーを進めます。
  5. クリップの装着:左心房内に導入した専用システムで、逆流している僧帽弁の部分へクリップを運び、弁の先端をしっかりと挟み込みます。
  6. 効果の確認と固定:血液の逆流が改善し、弁が正しく動いているかを確認した上で、クリップを固定します。必要に応じて、追加のクリップ装着や位置の調整を行うこともあります。
  7. 器具の撤去と止血:最後に、使用したカテーテルなどを抜去し、止血処置をして手術は終了します。

この治療の特徴

-体への負担が少ない-     開胸手術に比べ、切開が小さいため回復が早く、体へのストレスが軽減されます。
-ハイリスクの方でも治療可能- 高齢者やほかの持病がある方など、従来の手術が難しい患者さんにも適用できる可能性があります。
-心不全による入退院の抑制-  僧帽弁逆流症が原因で繰り返す心不全の症状に対して、有効な治療効果が期待されます。

治療までの流れ

  1. 外来受診 かかりつけの医療機関から山口大学医学部附属病院第二内科に紹介していただきます。
  2. 術前検査 心臓の状態を詳しく調べるための検査を実施します。必要に応じ、一週間程度の検査入院を行う場合もあります。
  3. ハートチームでの検討 循環器内科、心臓血管外科、麻酔科、理学療法士などの専門家が集まり、検査結果を基に最適な治療方法を検討します。
  4. 入院と手術 手術のために入院し、経皮的僧帽弁接合不全修復術を行います。術後は集中治療室に入室し、翌日に一般病棟に移ります。リハビリや薬物管理を受けながら、通常約1週間程度で退院となります。事前の心不全の状況によっては、入院期間が延びることもあります。
  5. 術後のフォローアップ かかりつけの医療機関での薬物療法を継続していただき、定期的に当院でも術後経過を確認します。

当院の取り組み

当院では、以下の点にこだわって安全で効果的な治療を提供しています。

*入念な検査とカンファレンス 各分野の専門医が連携し、患者さんに最適な治療法を提案します。
*チーム医療の徹底       術者だけでなく、心エコー医、麻酔科医、理学療法士、看護師、薬剤師、栄養指導士などが一丸となって、術前から術後までしっかりサポートします。



Copyright2025 © 山口大学大学院器官病態内科学 第二内科 All Rights Reserved.