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2026年05月21日
心房細動の最新治療「PFA」における安全性向上への取り組み~治療順序の工夫で血圧低下リスクを軽減~
当講座の橋本 慎太郎 診療助教、石口 博智 助教、吉賀 康裕 講師、佐野 元昭 教授らの研究グループは、心房細動の最新治療である「パルスフィールドアブレーション(PFA)」の施行中に発生する急激な血圧低下について、その頻度、リスク要因、および具体的な予防策を明らかにしました 。本研究成果は、米国不整脈学会の公式誌である「Heart Rhythm」に掲載されました 。
研究の背景と課題
心房細動の根治治療として行われるカテーテルアブレーション治療において、近年、従来の熱を用いる手法(高周波や冷凍凝固)に代わり、非熱的な電気エネルギーを用いる「PFA」が急速に普及しています 。PFAは心臓周囲の血管や神経への損傷が少ないという優れた特徴を持つ革新的なデバイスですが、エネルギー照射の直後に、一過性の徐脈や血圧低下(迷走神経反射)が生じることが臨床上の課題となっていました 。
研究から明らかになったこと
研究グループが治療中の経過を詳細に分析したところ、以下の点が明らかになりました。
血圧低下の頻度と特徴 :全体の76%で少なくとも1回の急激な血圧低下がみられ、そのうち32%で昇圧剤の投与やペーシング処置が必要 。
照射回数による変化(減弱反応) :血圧低下のリスクは「1番目に治療する肺静脈」で最も高く、照射回数が進むにつれて、そのリスクが段階的に減少していくことが多変量解析によって示された 。
治療順序によるリスクの違い :治療を開始する肺静脈の順序を比較した結果、 右上肺静脈(RSPV)から開始するプロトコル は、左上肺静脈(LSPV)から開始する場合と比べて深刻な血圧低下の発生率が低く、血圧が回復するまでの時間も有意に短いことが判明した 。
今後の展望
今回の研究から、治療を「右上肺静脈」から開始するというシンプルな手順の工夫が、治療中の患者さんの安全性を高める可能性が示されました 。
この成果は、PFA治療における周術期管理の最適化に直結するものです 。特に、重症の心機能低下や合併症を持つ患者さんに対して、より安全に治療を提供するための重要なエビデンスとなります 。当科では、今後も最新デバイスの特性を活かし、患者さんにとって安全で効果的な治療法の確立を目指してまいります 。
2026年04月02日
このたび、当科の小室先生の研究課題が、日本医療研究開発機構(AMED)による「2026年度 医療機器等研究成果展開事業(チャレンジタイプ)」に採択されました。
本事業は、従来の枠組みにとらわれない新しい発想で、予防・計測・診断・治療を可能とする革新的な医療機器やシステムの開発を目指すものです。
山口大学の女性医師として初の快挙
今回の採択は、 山口大学の女性医師として初めて の快挙となります 。 小室先生からは、「今回の採択が、後に続く女性医師の皆さんの励みになれば幸いです」との温かいコメントをいただいております 。
当科にとっても非常に名誉なことであり、キャリアを歩む多くの女性医師や若手研究者にとって、大きな希望と勇気を与えるニュースとなりました。
研究の意義と目的
現在、医療現場ではより精度の高い診断や、患者さまへの負担が少ない治療法が常に求められています。今回の採択を受けた研究は、これからの医療の質を向上させるための「新たな鍵」となるデバイスやシステムの構築を目的としています。
新しい予防・診断へのアプローチ
革新的な医療機器の開発
より安全で効率的な治療システムの実現
教室としての展望
小室先生の真摯な研究姿勢がこのような形で評価されたことは、当科にとっても非常に大きな励みとなります。大学病院という研究機関の使命として、私たちは日々進歩する医学知識を臨床現場に還元し、患者さまにより良い医療を提供することを目指しています。
今後も、高度な専門性を追求するとともに、次世代の医療を切り拓く研究活動を積極的に支援してまいります。
2026年03月30日
山口大学において、今年度新たに創設された「山口大学研究者表彰制度」の第1回表彰式が開催されました。 この表彰式において、当講座(器官病態内科学)の佐野元昭教授が、栄えある「卓越研究賞」を受賞いたしました。
本制度は、山口大学とし て初となる研究者表彰制度で、優れた研究業績を挙げ、学術の発展に寄与した研究者を顕彰するために設立されたものです。佐野教授は、大学院医学系研究科の教授としてだけでなく、細胞デザイン医科学研究所(先進ゲノム編集治療研究部門)の教授としても、その多大なる研究成果と貢献が認められ、今回の受賞となりました。
授賞式の様子は、tysテレビ山口などのメディアでもニュースとして取り上げられています。
当講座では、今回の受賞を励みとして、今後も医学のさらなる発展と地域社会への貢献を目指し、日々研究活動に邁進してまいります。
関連リンク:
山口大学として「初」の研究者表彰制度を創設 「第 1 回 山口大学研究者表彰式」を開催(PDF)
tys NEWS DIG:山口大学で初の「研究者表彰式」
2026年03月26日
この度、医療法人青藍会様のご協力の下「上下運動椅子」の研究プロジェクトに参画することとなりました。
今回のプロジェクトは、
座面が上下に動く機構が、人間の身体機能にどのようなポジティブな影響を与えるのか。その有効性を科学的に検証していく試みです。
健康やワークスタイルの未来に繋がる有意義な研究にできるよう努めてまいります。
今後の進捗や研究の成果についてはこちらのページ で共有していく予定です。 ぜひご期待ください。
第二内科 南野 巧真
2026年03月23日
この度、当科の石口博智先生が、歴史ある「第51回日本心臓財団研究奨励賞」を受賞されました 。また、石口先生は今回の受賞者全15名を代表して、贈呈式での受賞者代表挨拶という大役を務められました 。
受賞研究テーマ
『ORANGE AFレジストリー:多施設共同前向き登録研究による心房筋症の臨床的意義の解明と術前診断法の確立』
研究内容の概要
心房細動に対するカテーテルアブレーションは心不全管理に有用ですが、侵襲的手技であるため適切な適応選択が重要です 。心房細動には、不整脈が原因で心機能が低下する病態と、心房筋障害の結果として生じる病態(心房筋症)が混在しています 。 本研究は、初回アブレーション症例を多施設で前向きに追跡することで、心房筋症の頻度や危険因子を明らかにするとともに、術前情報のみで合併を推定できる診断法の確立を目指すものです 。
石口先生からのコメント
「留学支援や『健康ハートの日』などの啓発活動で非常に馴染み深い日本心臓財団から、このような歴史ある賞をいただき大変光栄に存じます 。 昨今の国内外の環境変化や物価高により研究遂行が困難な状況下で、今回のような手厚い助成をいただけることは非常にありがたく、心より感謝申し上げます 。 本受賞は、大学の不整脈班やエコー班、さらには関連施設の皆様が一つになったチームとしての成果です。研究テーマである『ORANGE AFレジストリー』を完遂できるよう、チーム一丸となって邁進してまいります」
第二内科では、今後も質の高い臨床研究を通じて、循環器疾患の診療向上に貢献してまいります。
2026年01月26日
山口大学医学部附属病院 第二内科(名和田隆司 助教ら)の研究グループは、難治性の自己免疫疾患などの治療に用いられる「ステロイドパルス療法」が、患者さんの循環動態に与える影響を明らかにしました 。
本研究では、治療直後に心臓への負荷を示す血液マーカー(BNP・ANP)が有意に上昇することや、心臓超音波検査において左房容積が増加することを科学的に実証しました 。これまで臨床現場で経験的に知られていた「心臓への負担」を数値として明確化したことで、心疾患リスクを持つ患者さんに対して利尿薬を併用するなど、より安全な治療管理体制を整えるための重要な根拠となります 。
当科(第二内科)は、膠原病・循環器・腎臓高血圧の3領域の専門家が集まる全国的にも珍しい診療科です 。 この3領域が連携する独自の体制を活かし、今回の発見をきっかけとして、より安全で最適な医療の提供を目指して研究を推進してまいります 。
本研究成果は、2025年12月28日付で国際学術雑誌「Immunological Medicine」に掲載されました 。
詳しくはこちら👉
2026年01月21日
この度、当科の中嶋佑輔先生らが執筆した論文が、欧州心臓病学会(ESC)の公式ジャーナルである 『European Heart Journal – Imaging Methods and Practice (EHJ-IMP)』 のImage FocusセクションにAcceptされました 。
本論文は、最新の超音波技術である「TrueVue Glass」を用いて、心臓サルコイドーシスに伴う心室瘤を鮮明に可視化した症例報告です。
■ 論文タイトル
A case of cardiac sarcoidosis with a ventricular aneurysm visualized by four-dimensional left ventricular imaging using TrueVue Glass (TrueVue Glassを用いた左室4Dイメージングにより可視化された、心臓サルコイドーシスに伴う心室瘤の一例)
【Figure:TrueVue Glassによる左室4Dイメージング】
画像解説: 左室側壁に形成された心室瘤が、TrueVue Glass技術によって立体的かつ半透明に描出されています。従来の2Dエコーでは把握が難しい「瘤の奥行き」や「周囲の心筋との位置関係」が、非侵襲的に鮮明に可視化されています 。
■ 研究・症例の概要
本症例は、虚血性心疾患(PCI後)の経過観察中に偶然発見された「左室側壁心室瘤」に対し、 FDG-PET/CTや心臓MRIを含むマルチモダリティ評価を行った結果、 「心臓限局性サルコイドーシス」 の診断に至りました 。
診断の決め手の一つとなったのが、Philips社の最新技術 「TrueVue Glass」 です。 光源を仮想的に移動させ、組織を半透明に表示することで、心室瘤の「入り口の形状」や「深さ」をリアルタイムに把握することに成功しました 。この技術は、カテーテルによる左室造影(LVG)に近い視覚情報を、造影剤を使わずに提供できるため、今後の診断プロセスを強力に補助するツールとして期待されます 。
■ 著者・掲載情報
著者: Yusuke Nakashima, Michio Yamada, Ayumi Omuro, Shinichi Okuda, Motoaki Sano
掲載誌: European Heart Journal – Imaging Methods and Practice (Image Focus)
中嶋先生おめでとうございます。 当科では今後も、最新のイメージング技術を用いた診療・研究に力を入れてまいります。
2025年11月11日
石口博智助教が、大和証券財団(東京)による本年度の調査研究助成に選ばれました 。この助成は、中高年や高齢者の医学・医療、在宅医療・介護に関する研究を対象としています 。
研究テーマ:「心房心筋症の合併実態調査」
石口助教が取り組む研究課題は、「心房心筋症の合併実態調査」です 。心房細動のアブレーション治療は、心房心筋症を合併すると効果が限定的となります 。本研究は、この合併実態を調査し 、術前に合併を予測する診断アルゴリズムの開発を目指すものです 。
本年度の助成は、全国285件の応募の中から33件採択されました 。山口県内からの助成決定は昨年の末冨 建助教に続いて2年連続で6人目となります 。
石口助教の研究が、心房細動治療の未来を切り拓くことを期待したいです。
2025年11月10日
名和田 隆司先生が令和7年度 横山臨床薬理研究助成に採択されました。
この助成は、医学の進歩のため、特にトランスレーショナルリサーチに意欲的に取り組んでいる研究に対して交付されます。
名和田先生のさらなる研究が期待されます。
名和田先生おめでとうございます。
2025年11月10日
末冨 建先生が第3回循環器ダイバーシティ研究奨励賞
最優秀賞に選ばれました
この賞は日本の循環器疾患における患者もしくは医療者の、性差や職種、社会経済学的なダイバーシティに関する研究の推進を目的としたもので、今後ダイバーシティ推進の分野で貢献が期待される研究者に贈られるものです。
末冨先生おめでとうございます。